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「赤毛組合」にみる否定形の使われ方

「シャーロック・ホームズの冒険」に収められている "The Red-Headed League" は、ホームズ譚のうちでも特に有名な作品のひとつだ。先日取り上げた別の人気作「まだらの紐」 "The Speckled Band" 同様、厳密にみると突っ込みどころがかなりあるが、ストーリーの展開やホームズとワトソンの会話の味わいなどの点で、この「赤毛組合」の方が私のお気に入りである。
物語は、ワトソンがホームズを訪ねるところから始まる。ホームズがある男性と話し込んでいたのを見て、お取り込み中だったか、邪魔して悪かったと言って去ろうしたワトソンを、逆にホームズは室内に引っ張り込んだうえ、「ちょうどいいところに来てくれた」と、歓迎の言葉すら口にする。 この作品を最初に読んだのは翻訳だったが、ずっと後になって原文に触れた時は、「いいところに来た」という部分の英語を見て、「こんな風に言うのか」と驚いた。 - "You could not possibly have come at a better time, my dear Watson,” he said cordially. つまり、否定形を使って、「これ以上ありえないような良い時に来てくれた」と言っているわけである。この作品は100年以上前にイギリスで書かれたもので、こうした言い方が今も日常で普通に使われるものかどうかはわからない。いずれにしても、原文を読んだ時は大いに感心した。 「赤毛組合」では、この他にもいくつかの否定形の使われ方が目を引く。 - He wore rather baggy gray shepherd's check trousers, a not overclean black frockcoat - to get this not over-bright pawnbroker out of the way for a number of hours every day この over- は「過度に」「非常に」という意味だろうから、否定だと not very のように考えればよさそうだ。「赤毛連盟」の題でネットで公開されているある翻訳は、後者を「あのひどく頭の悪い質屋の主人」としているが、この訳は正しいのだろうか。 もうひとつ。 - Small, stout-built, very quick in his ways, no hair on his face, though he's not short of thirty. short of だったら「30にはなっていない」ので、ここでは逆に「30は越えている」「30代に達している」ということになろう。また「顔面に毛がない」とは「ひげはない」ということだろう。 「30を越しているのにひげは生やしていない」というこの描写は、「赤毛組合」のある登場人物についてのものだが、そういえば、ホームズはひげを生やしていないというイメージがある。これはホームズ譚の挿絵を長く担当したシドニー・パジェット Sidney Paget という画家が描いた風貌による影響が大きいためだが、原文ではこの点について詳しい描写はない(はずである)。 パジェット以前には口ひげを生やしたホームズのイラストを描いた画家もいたから、当時は「男30にもなればひげをたくわえるのが普通」だったのかもしれない。それでも、ひげのあるホームズはどうにも受け入れがたい。 さて「赤毛組合」に戻ると、ワトソンを迎え入れたホームズは男性に向き直り、この依頼人の素性を言い当てて驚かせる。さらに依頼人の男性から語られる奇妙な体験談。それが思いもよらぬ事件につながっていく。ホームズとワトソンのかけあいも含めて、「赤毛組合」はホームズ物語の特徴や面白さを象徴するような作品だと思う。冒頭に書いたように、実は細かく見ていくと突っ込みどころ満載なのだが、個人的にはかえってそれが許せてしまう。 なお、「赤毛組合」といえば、この作品に出てくる「フールスキャップ」 foolscap という大きさの紙について以前取り上げたことがあり、参考までに記しておく。 過去の参考記事: If the cap [shoe] fits...
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tempus fugit

Author:tempus fugit
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「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

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