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「ファウンデーション」(銀河帝国興亡史)

前回取り上げた gnome から頭に浮かんだのが、アイザック・アシモフ Isaac Asimov のSFシリーズ Foundation である。

いったい何のつながりがあるかというと、この作品を最初に出版したのが「ノーム・プレス」という出版社だと翻訳か何かで読んでいたのだが、ある時この「ノーム」が gnome のことだと知り、へえっと思ったという、いささかオタク的な思い出があるからだ。そして、この Foundation は、私の英語学習のうえで思い出深い作品でもある。

英語を学び始めた頃、私はいわゆる英会話よりも、原書や映画を原語で理解したいという興味の方が強かったことは、これまで何度か書いた(とはいえ、ラジオやテレビの英会話講座もかなり熱心に視聴していた)。中学生の時にはミステリやSFの翻訳をずいぶん読んだが、高校生になって英語のペーパーバックに目が向くようになると、よく手にしたのはミステリよりもSFの方だった。

大きな書店の洋書フロアに行くと、ミステリほどではないが、SFもかなりの数が置かれていた。そして、SFはワクワクするような絵が表紙についているものが多かった。ろくに読めもしないのにSFのペーパーバックを買ったのは、そうした表紙絵につられたところが大きかったと思う。そうした本の中に、中学生の時に翻訳で読んだアシモフの代表作のひとつ Foundation Trilogy もあった。

翻訳は「銀河帝国の興亡」といういささか安っぽい邦題だったが、「銀河帝国」から想像される「スター・ウォーズ」的な戦闘場面は皆無で、かなり静的な内容の作品である。しかしじわじわとした味わいが私には面白く、3冊の文庫本を一気に読んでしまった。

この作品はギボン Edward Gibbon の「ローマ帝国衰亡史」 The History of the Decline and Fall of the Roman Empire から構想を得たといわれていて、邦題はそれにちなんだものだろう。なお私が読んだ翻訳はすでに絶版で、いまは別の翻訳が「銀河帝国興亡史」という通しタイトルで出ている。

人類が銀河系全体に進出し、地球が発祥の地であることも忘れ去られている遙かな未来、繁栄を極めているかのように見える銀河帝国が実は崩壊に向かっていることに気づいた心理歴史学者がいた。帝国の滅亡は不可避だが、それに続く混乱と暗黒の時代を短縮し、新しい文明の核とするため、彼は人類の科学技術を保存する「ファウンデーション」という組織を作る…という設定である。

物語は、「ファウンデーション」がさまざまな危機を乗り越えて発展していく様子を描いていくが、その過程で、実は「第2ファウンデーション」という、隠されたもうひとつの組織があることが明かされる。それがどんな組織で、どこにあるのかという謎解きの要素も加わって読めるようになっている。

高校生の時に買っただけで放っていた Foundation の3冊のペーパーバックを改めて手に取ったのは、確か大学に入った年だっただろうか。夏休みのある日、最初の巻を眺めていたら、なんだか読めそうな気がしたので、挑戦してみることにした。どれくらいかかったか覚えていないが、手こずりながらも何とか3冊を読み通すことができた。

細かいところは忘れていても一度翻訳で読んで筋を知っていたことが大きく、純粋に当時の英語力だけで読めたのではないのは明らかだったが、曲がりなりにもまとまった英語の本を読んだという達成感は格別で、大きな励みになったものだった。

その後、作者のアシモフはシリーズの4巻目を出版した。いったん完結した3部作から実に30年、そして1992年に死去するまでさらに続編が書かれ、最終的にシリーズは全7巻となった。時間軸では3部作の後の時代を描いた作品のほか、逆にそれ以前にさかのぼった prequel もある。

そうした続編も翻訳や原書で読み、それぞれ楽しんだが、最初の3部作ほど強い印象は受けなかった。内容がどうというより、すでに私自身が大人になって感性がすれてしまったこと、そして何より、3部作は原書を読み通したという個人的体験のため別格の存在だったということだろう。

ところでネットの情報によれば、最初の3部作は、いま映画化の話が進んでいるということだ。しかし原作の内容は映像では伝えにくいのではと思う。相当脚色されて結局はほとんど別物、というようにならなければいいが、と原作のファンの私は考えてしまう。

このシリーズについては、下記の Wikipedia にかなり詳しい記述がある。オサマ・ビン・ラディン Osama Bin Laden がこの作品に影響されたのでは、という説まで言及されていて面白い。ちなみに「アルカイダ」 al-Qaeda というアラビア語は base のほか foundation とも訳すことができるという。
http://en.wikipedia.org/wiki/Foundation_series

上記のサイトに表紙の写真が載っているペーパーバックは、まさにかつて私が買ったイギリスの Panther Books の本である。すでに絶版になっているようで、いま書店で手に入るのは、あまり表紙絵が面白くないアメリカのペーパーバックなのが残念だ。

そして、当時私をワクワクさせた表紙絵のSF作品の多くはこの Panther のペーパーバックで、クリス・フォス Chris Foss という画家によるものだった。彼のオフィシャルサイトで、いくつかの懐かしい絵を見ることができた。
http://www.chrisfossart.com/Spaceship_s/2.htm

ついでに、すでに存在しないノーム・プレス社についての記述も Wikipedia にあったのでURLを掲げておきたい。SFを多く出していた中小出版社だったようだ。サイトに載っているロゴの人物は gnome をあしらったものだろうが、顔が何となくアシモフに似ている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Gnome_Press

私の実家のどこかに、かつて読んだ3部作のペーパーバックがまだあるはずだ。次に戻った時に探して、見つかったら再読してみようかと思う。


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「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

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