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マイクル・クライトンを悼む

少し前になるが、「ジュラシック・パーク」の原作者で、TVドラマ「ER」の制作にも関わっていた作家マイクル・クライトンが亡くなった。まだ66歳、現役で新作の発表を続けていただけに驚いた。オフィシャルサイトにも "Best-selling author Michael Crichton died unexpectedly" とある。 http://www.michaelcrichton.net/ 私が最初に彼の作品を読んだのは中学生の時、「アンドロメダ病原体」が最初だった。いま風にいえば「バイオハザード」ものの先駆的な小説とでもいえばいいだろうか。
当時の私には難しいところもあったが、人類を脅かす病原体の「写真」が載っていたり、アメリカ政府の「極秘文書」が引用されていたりするなど、まるでノンフィクションのように読ませる仕掛けがされていて新鮮に感じた。 この作品とはその後もつき合いが続いた。大学生になって再度手にした時は、最初よりもずっと面白く読めた。社会人になってまた再読、そして原書 The Andromeda Strain を手こずりながら読んだ。一時、鳥インフルエンザの記事などでよく見かけた strain という単語を覚えたのもこの作品によってだった。 さらに何年も経ってから、仕事の出張の帰りにロサンゼルス空港の売店で見つけて暇つぶしにと買い、帰国便の中で一挙に読んでしまった。最初に原書を読んだ時より英語力がついていたこともあるが、やはり当時は体力があった。今ではもう無理だろう。 他の作品も翻訳やペーパーバックでいくつか読んだが、どれも面白かった。日本を取り上げた「ライジング・サン」 Rising Sun には、「これはちょっと」と思わされるところもあったが。 ベストセラー作家となってからの作品は、映画を監督したことも大きいのだろうか、どうもストーリーが映画のように展開しがちに感じられるのが気になったが、その一方で、取り上げるテーマや切り口に必ず科学・文明批評が込められていて、単なる娯楽小説に終わらせない努力を絶やさない作家という印象を持っていた。 それでも、私にとって一番印象が深いのは、今もやはり「アンドロメダ病原体」である。宇宙船に付着して地球に運ばれてきた未知の病原体が人類に脅威をもたらす、という設定は、最初に読んだ時も実際にありそうなことだと思われた。また、それをいかに無力化するか、必死で研究する科学者たちの闘いの描写も、医学を学んだ著者ならではと思った。 後の作品から比べれば、少し展開がまったりしているし、派手なシーンもあまりなく、全体的に地味である。しかし、じわじわと脅威が高まっていく方が、かえってローラーコースター的な展開をする page-turner よりも効果的のように感じる。もちろんこれは私個人の好みだし、最初に読んだ作品ということも影響しているかもしれない。 いずれにせよ、創作力が衰えていなかったはずのクライトンだけに、その死は残念である。The Andromeda Strain をはじめ、書棚にある作品を、また読みかえしてみようかと思っている。
The Andromeda Strain

The Andromeda Strain

  • 作者: Michael Crichton
  • 出版社/メーカー: Harpercollins (Mm)
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: マスマーケット
アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208)) (ハヤカワ文庫 SF (208))

アンドロメダ病原体 (ハヤカワ文庫 SF (208)) (ハヤカワ文庫 SF (208))

  • 作者: マイクル・クライトン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1976/10/19
  • メディア: 文庫
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tempus fugit

Author:tempus fugit
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「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

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