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ヒラリー・クリントンの党大会演説

アメリカの民主党大会では、前回取り上げたケネディ上院議員が "The torch will be passed" と演説して去りゆく世代を感じさせたとしたら、"Keep going" と繰り返したクリントン議員は、党内融和を訴えると同時に、「転んでもただでは起きない」と訴えたいかのようだった。 党内分裂が危惧されるほど最後までオバマ議員と争った彼女が、一転、どんな言葉で結束を呼びかけるのか。そんな興味からスピーチを聞いてみた。
http://edition.cnn.com/2008/POLITICS/08/26/clinton.transcript/index.html http://elections.nytimes.com/2008/president/conventions/videos/20080826_CLINTON_SPEECH.html# ヒラリーはまず、
- I'm here tonight as a proud mother. As a proud Democrat. As a proud senator from New York. A proud American. And a proud supporter of Barack Obama.

- And whether you voted for me, or voted for Barack, the time is now to unite as a single party with a single purpose.
と、単刀直入にオバマ氏への支持と党内の融和を呼びかける。このあと、ちょっと長文になるが、
I haven't spent the past 35 years in the trenches advocating for children, campaigning for universal health care, helping parents balance work and family and fighting for women's rights here at home and around the world... to see another Republican in the White House squander our promise of a country that really fulfills the hopes of our people.
と続ける。日本語は文を最後まで聞かなければわからない、といわれることがあるが、この英文も ...to see 以下を聞かないと全体はつかめない。もっとも、聞いている方は I haven't... と否定で始まったのを受けて、何を言うのかとより耳をそばだてることになる。ここで to see 以下までに述べられるのは自分のこれまでの歩みである。効果的だと思う。 ちなみに in the trenches は「現場で」という意味である。余談だが、昔、何かの小説の翻訳を読んでいたら、軍事ものではないのに「塹壕で」と出てきて、面白い比喩だなと思った。しかしためしに英和辞典を引いてみたら、この表現が載っていた。 続いてクリントン議員は、
And you haven't worked so hard over the last 18 months, or endured the last eight years, to suffer through more failed leadership.
と、主語を you に変えて同じような否定の構文を重ねるが、ここは後ろの to までを短くして、端的に共和党を批判する。さらに、
No way. No how. No McCain.
と短くたたみかける。ここは今回の演説での catchy な言い回しとして、意識してヒラリー(あるいはスピーチライターが)考えたものだと思うが、とはいってもやはりうまいものである。No how. は俗語で「とんでもない」の意味だと辞書にあった。 さらにオバマ氏への支持を再び呼びかけたあと、ヒラリーは自分の選挙活動を振り返る。ここでは I will always... を繰り返しているが、このように、同じ言い方を続けるのは英語のスピーチでは定石といえるだろう。そうだと知っていても、やはり効果的である。 続いて、
I ran for president to renew the promise of America.To rebuild the middle class and sustain the American Dream(中略), to provide...(中略)To promote...(中略)To create...(後略)
と、to ... を繰り返して自分の意図を述べ、途中で
We want to create a world class education system and make college affordable again.
と主語を we に変える。そしてまた to... をつけた言葉を繰り返す。ヒラリーの考えは、「われわれ」の思いでもある、と、聞いている側を巻きこむことを狙っているのであろうか。うまいと思う。 そして、
Those are the reasons I ran for president, and those are the reasons I support Barack Obama for president.
I want you to ask yourselves: Were you in this campaign just for me?
と、聞き手に you と呼びかけて問いかけ、再びオバマ氏へと話を持っていくのである。 こういった流れを聞いていて、うーんと感心してしまった。争いに敗れたヒラリーだが、ケネディのような「去り行く者の美」を見せるのではない。敗者として後ろ向きになるのではなく、逆に自分を前に出しつつ、しかしオバマ候補より前に出るのではなく、聞き手との一体感を醸し出すような演出を図っているようだ。 この後、ヒラリーはアメリカでの女性投票権拡大の歴史について振り返り、Harriet Tubman という人物の言葉を引用する。調べてみたら、19世紀から20世紀初めにかけて活躍したアメリカの黒人女性活動家だと知った。
"If you hear the dogs, keep going.
If you see the torches in the woods, keep going.
If they're shouting after you, keep going.
Don't ever stop. Keep going.
If you want a taste of freedom, keep going."
女性参政権の拡大にちなんで紹介した言葉ではあるが、もっと広い意味で "Keep going." と呼びかけているようであり、何よりもヒラリー自身を鼓舞しているようにも聞こえた。あくまで私の印象であり、彼女(およびそのスピーチライター)が、そうした意図をこめていたのかどうかはもちろんわからないが。 クリントン議員が、あれほど攻撃していたオバマ候補を演説で称えたのがはたして本心かどうかはうかがい知れない。が、いずれにせよ、ここまで言葉とそのわざを尽くさなければ党内融和は図れないということなのだろう。 今回の演説を聞いて、そうした「言葉文化」に改めて印象づけられた。その一方で、ヒラリー自身がここまでしなくては繕えない大きな亀裂を招いた証しに他ならない、とも思った。 言葉の使い方や表現力に感心するのは簡単なことである。しかし逆にいえば、他人との競争・衝突というリスクを厭わない人、あるいは文化だからこそ、一種の「武器」としての言葉の必要性を痛感し、それに磨きをかける、あるいはかけざる得ないのではないか。そんなことも考えさせられたクリントン議員のスピーチだった。
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「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

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