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「情熱的」ではない passionate

前回も触れたTVドラマ「スター・トレック」に主演しているのは、パトリック・スチュワート Patrick Stewart というロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身のベテラン俳優である。いまブロードウェーで「マクベス」を演じている機会をとらえて Newsweek 誌の最新号がインタビューをしていた。ところが記事を一読して、内容のひどさに驚いてしまった。
以下ネタバレになるが、インタビューアーは今回の上演については大した質問をせず、二十年近く前の出演作になる Star Trek をめぐり、これまたろくでもない質問をする。さすがのスチュワート氏も立腹したようで、インタビューアーを叱ったところで終わりとなる。 「ニューズウィーク」ともあろうものが、なぜこんなインタビューをしたのか。もちろん実際に質問をしたのはインタビューアーだが、記事は編集部の責任で取材・掲載されるはずだ。 質問を快く思っていないことを示す答えもそのまま載せているのは、軽いタッチにしようと狙ったのか、それとも契約か何かの関係で掲載せざるを得なかったのか。いずれにせよ、インタビューでは”変化球”もありだろうが、暴投では話にならない。「マクベス」についてのインタビューを予期していた(はず)のゲストにも失礼であろう。 さて、このインタビューの英語について少し書いてみよう。以下、最後の部分を引用する。Trekkie とは Star Trek の熱狂的ファンのことである。
Q: When you're onstage, aren't you worried about weird Trekkie fans in the audience?
A: Oh, come on, that's just a silly thing to say.

Q: But they are weird.
A: How many do you know personally? You couldn't be more wrong. Here's the thing: if you say the fans are weird, that means there is something essentially weird about the show, and there is nothing weird about it. I'm very passionate when people like you snigger.

( http://www.newsweek.com/id/129592 )
snigger snicker と同じで、to laugh at someone or something childishly and often unkindly; to laugh disrespectfully in a covert way ということだが、ここで注目したいのは passionate である。 この形容詞は「情熱的な」といった訳語で覚えることが多いと思うが、他にも次のような意味がある。
- capable or susceptible of passion, or of different passions; easily moved, excited or agitated; specifically, easily moved to anger; irascible; quick-tempered;
- quick-tempered: easily made angry
- easily aroused to anger; filled with anger
こうした気持ちにさせられる相手に愛着は持ち難いと思うが、一方で having strong emotions: tending to have strong feelings, especially of love, desire, or enthusiasm という意味としては、Joe is passionate about baseball (= he likes it very much). という辞書の例文にあるように、相手に愛着を持つ場合に使うわけである。同じ単語なのに、面白いものだ。 なお脱線だが passionate からの連想で、大文字で始まる Passion は「キリストの受難」を指すので注意が必要だ(というより、由来を見るとこちらが passion の原義のようだ)。数年前にメル・ギブソンが監督した映画が「パッション」という邦題で公開された時には、これでは何のことかわかるまいと呆れるべきか、これで「受難」を意味する英単語が知られるようになると歓迎すべきなのか、複雑な気持ちになったのを覚えている。 元に戻って、今回出てきた passionate の具体的なニュアンスについては自信がないが、スチュワート氏が怒りを爆発させた、というような感じは受けない。そう感じるのは、この言葉のすぐ前には、かつて自分が出演したSFドラマのファンを大切にする発言をしていて、スチュワート氏に落ち着いた大人のイメージを抱くからかもしれないが。 こうしたことを書いたあとで、もう一度「ニューズウィーク」のサイトで記事を見たら、読者からのコメントを掲載していることに気づいた。やはりインタビューを批判的にみている声が多かったが、スチュワート氏の言葉についてこんなコメントがあった。
Talk about controlled anger! If I were in Mr. Stewarts [sic] position, I would have hit her!
やはり私のように感じたのであろう。controlled anger は「抑えた怒り」とでもいえばいいのだろうか。ついでに Talk about ... ! とは、「まさに〜だ」「まったくもって〜だ」と感嘆する時の表現である。 ところで、スチュワート氏の美声と正統的イギリス英語は、聞いていてほれぼれする。日本では「スター・トレック」のほか、映画の「X-メン」でその姿を見ることができるくらいだが、海の向こうでは、シェイクスピアの舞台のほか、ディケンズの「クリスマス・キャロル」の一人芝居で知られているという。この名作の映画版にも出演していて、こちらは一人芝居ではないが、その演技はやはり見ごたえがある。
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参考:この単語の意外な意味
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「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

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