ホーム   »  スポンサー広告  »  スポンサーサイト   »  未分類  »  翻訳者の命を奪った?at bay

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

翻訳者の命を奪った?at bay

「進退窮まる」ことを表す表現をめぐっては、このところ取り上げてきた「ジレンマ」というニュアンスにこだわらなければ、at the end of one's rope, up a tree, have one's back to the wall, at bay なども過去の英語学習ファイルに書き留めてあった。このうち at bay という表現を私が知ったのは、ウソのようなあるエピソードによってだった。
明治時代、ある翻訳者が "a lion at bay" を「湾頭に吼えるライオン」と訳したところ、これは「追いつめられたライオン」という意味であり誤訳だと指摘され、悩んだ末に自ら命を絶ったという。英語の勉強を始めた頃から今に至るまで、何回か触れたことがある話である。 この翻訳者は原抱一庵といい、森田思軒に師事した文学者だが、1904年に39歳で亡くなっている。コナン・ドイルのホームズもの第1作「緋色の研究」も翻訳している。 ネットでみると、誤訳論争は確かにあったようだが、「神経質な性格から精神に異常をきたして病院で死んだ」あるいは「酒に溺れて発狂死」「酒乱となり東京巣鴨の癲狂院で死去」などの記述もある。 遺書なり複数の証言なりがあるのなら別だが、本当に誤訳が直接の原因となって自殺したのだろうか。何ぶん明治の昔であり、「どうもそうらしい」という程度の話が伝えられ、それが他に引用され、さらにそれが今に至るまで孫引きされて、ということはないのだろうか。真相をご存知の方がいらっしゃったら、教えていただければありがたい。 さて、bay は辞書で引くと、「(犬が獲物を追う時の)吠える声」、また動詞の「(犬が)吠える」 (of a dog, esp. a large one) bark or howl loudly さらに corner hunted animal: to corner or exhaust a hunted animal so that it must turn and face its hunters という意味がある。 「湾」とはずいぶん違うが、語源を見ると、実は異なる語が変化の末、同じ bay に落ち着いたらしい。「湾」はその中でも由来に異説があるようだ。「吠える」方は音を模したらしいのが面白い。
「湾」
- "inlet of the sea," 1385, from O.Fr. baie, L.L. baia (c.640), from Iberian bahia.
- Middle English baye, from Anglo-French bai, perhaps from baer to be wide open
- Origin: 1350-1400; ME baye < MF baie < ML, LL baia, perh. by back formation from L Baiae name of a spa on the Bay of Naples

「吠える声」
- "howl of a hound" (especially when hunting), c.1300, from O.Fr. bayer, from PIE base *bai- echoic of howling (cf. Gk. bauzein, L. baubari "to bark," Eng. bow-wow; cf. also bawl). Noun meaning "cornering of a hunted animal" is also 14c. At bay (1649) is from special sense of "chorus raised by hounds in conflict with quarry."
- 13th century. Via Old French (a)baier< assumed Vulgar Latin abbaiare; an imitation of the sound
原抱一庵も、at bay の意味がわからないまま、迷った末にこの2つの意味をくっつけて考え出した「迷訳」だったのだろうか。 stand at bay は「追い詰められている」、turn at bay は「追い詰められて歯向かう」、keep [hold] someone (something) at bay とすると「〜を寄せつけない」という意味になる。 実際にこういった慣用表現がどう成立したかは別にして、吠えられると「追いつめられて窮地に陥り」、相手に吠え立てることで「近寄らせない」、とイメージすれば覚えやすいかもしれない。 もうひとつ、私の学習ファイルには、"A stag at bay is a dangerous foe." 「窮鼠猫を噛む」とメモしてあったが、今回あらためて Google で検索してみたら、ヒットはわずか30件、そのほとんどが日本語のサイトだった。検索方法が間違っていたなら別だが、どう考えたら良いのだろうか。
関連記事
コメント
トラックバック
トラックバック URL
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

tempus fugit

Author:tempus fugit
●こちらの更新は停止しました。http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/ で続行しています●
-----------------------
「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

カテゴリ
さくいん代わりのタグ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ページナビ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。