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「ハムレット」の名セリフの訳

新訳 ハムレット (角川文庫)

新訳 ハムレット (角川文庫)

  • 作者: ウィリアム シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 文庫
「慣用」をめぐって、もう1回書くことにする。シェイクスピアの「ハムレット」の名セリフといえば、何といっても "To be, or not to be..." だ。この訳として一般に言い慣わされているのは、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」だろう。ところが面白いことに、この言い回しが出てくる翻訳(完訳本)は、これまでひとつもないのだそうだ。 数年前に角川文庫から出版された、英文学者の河合祥一郎氏による「ハムレット」の新訳は、この「生きるべきか、死ぬべきか」を初めて採用したことをひとつの「売り」にしている。
河合氏は「あとがき」の中で、次のように書いている。
新訳が出るとなると、この部分の訳はどうなるのかと注目を浴びるところだ。そこで訳者は懸命に自分なりの解釈を考えることになる・・・・・・。(中略)しかし、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」ほど、ハムレットの独白の出だしの言葉として認知された訳もないだろう。(中略)重要なのは、その台詞の解釈よりはむしろ観客に与えるインパクトの強さなのではないだろうか。
そして、この「あとがき」の中で、"To be, or not to be..."が過去の翻訳でどのように表現されたか紹介している。なんと40通りもの訳が掲げられている。 ここで全部を列挙するのは問題があるかもしれず、そもそも長大なものになってしまうので、目についた一部だけを取り上げてみよう。 一番初めにあげられているのは、
- アリマス、アリマセン、アレワナンデスカ (1874年)
で、訳した人として「チャールズ・ワーグマン?」と書かれているので、最初にこのセリフを訳したのは、日本人ではなさそうだ。 かの坪内逍遥は、後年訳を変えている。
- 存ふか、存へぬか、それが疑問ぢゃ  (1907年)
- 世に在る、世に在らぬ、それが疑問ぢゃ (1933年)
本多顕彰も同様である。
- あるべきか、あるべきでないか、それは疑問だ (1933年)
- 長らうべきか、死すべきか、それは疑問だ (1949年)
「生きるべきか、死ぬべきか」に近いものとしては、
- 生か死か・・・・・・それが問題だ (久米正雄、1915年)
- 生きるか、死ぬるか、そこが問題なのだ (市河三喜・松浦嘉一、1949年)
- 生きる、死ぬ、それが問題だ (三神勲、1951年)
- 生か、死か、それが疑問だ (福田恆存、1955年)
など、かなりあるが、まったく同じものも、これまたない。 このほか、最近の翻訳がどのように訳しているかなど、興味を持たれた方は、実際にこの訳書を参照していただきたい。 また、「あとがき」の内容に関係なく、この新訳は一読の価値があると思う。というのは、この翻訳は、狂言師の野村萬斎氏が2003年に行った公演のために、河合氏が依頼を受けて行ったものであるためか、ことに自然な日本語になっていると感じるからだ。 河合氏は「あとがき」で、野村氏と氏本人が実際に何度も声を出して読み上げ、訳を推敲した、と書いている。原語の言葉遊びのような箇所も、意味を汲んで、日本語でも面白く感じられるように工夫されている。"A little more than kin, and less than kind." が「お世辞にも叔父は親父と同じとは言えぬ」と訳されているのにはびっくりした。河合氏にはぜひ他の作品も翻訳してもらいたいものだ。 さて、シェイクスピア作品の引用は、英語に触れているとあちこちに顔を出すので、「名セリフ」の類の本を読んでおいて損はないと思う。本当は原文で読むのがいいのだろうが、残念ながら私にはその力がない。 概説書以外で参考になると思うのは、現在ちくま文庫で進められている松岡和子氏の翻訳である。ページ欄外の脚注が、かなりの頻度で元の英語を挙げつつ説明する形を取っているので、英語学習者にとっても役に立つ。先の "A little more than kin, ..." という原文も、この脚注で知ったものだ。ちなみに松岡氏はここを、「血のつながりは濃くなったが、心のつながりは薄まった」と訳している。
シェイクスピア全集 (1) ハムレット

シェイクスピア全集 (1) ハムレット

  • 作者: W. シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1996/01
  • メディア: 文庫
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「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

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