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日本語の定冠詞?「ザ」をめぐる駄考

先日、「ザ・ホワイトハウス」という海外ドラマにからんだ英単語を取り上げたが、この邦題にある「ザ」は、考えてみるとちょっと面白い言葉だ。 かつて日本人は、「ザ」に、何となく英語っぽい、外国っぽいものを感じたのだと思う。「ザ」をつければ、(死語で恐縮だが)「舶来もの」っぽくなる、つまりは、カッコいいという印象を与えることができる、とも考えていたのではないか。そんなことから、英語と直接の関係がなくとも、「ザ・〜」という呼び方が日本語でもよく使われるようになったのだろう。
テレビのタイトルもそのひとつだ。思いつくだけでも、私が幼い時には「ザ・ガードマン」という連続TVドラマがあって、子ども心にカッコいいタイトルだと思った。大学生の時には「ザ・商社」という社会派ドラマが放送された。社会人になってからは「ザ・スクープ」という報道番組もあった。こうしたタイトルは以前ほど見なくなったように思っていたが、最近の海外ドラマの邦題としては珍しく、原題の単語がひとつも使われていない「ザ・ホワイトハウス」に、何となく先祖帰りのようなものを感じた。 また、ただの「ホワイトハウス」というとアメリカ大統領府のことだと受け取るが、英語と同じく「ザ」がつくと、逆に本物のホワイトハウスとは別物かもしれないと感じる人が結構出てくるような気がする。「ザ・ホワイトハウス」というタイトルを初めて見たら、ドキュメンタリー番組ではなくて多分ドラマだろう、と考えるのではないか。「ザ」をつけることで、そんな効果も生まれるように思う。 もうひとつ「ザ」で頭に浮かぶのが、政治のキャッチフレーズなどで使われる「ストップ・ザ・〜」という言い回しだ。ネットで検索すると、いろいろな言葉とくっつけられていて面白い。 少し前の例になるが、「ストップ・ザ・郵政民営化」はともかく、「ストップ・ザ・小泉」など、英語として考えれば噴飯ものだ。しかし、いくら国語学者や英語の先生方が嘆こうが、「ストップ・ザ・〜」はもう日本語の言い回しとしてほとんど定着してしまったようにも思う。 私も、こうした「ザ」に目くじらを立てるより、これが醸し出す雰囲気や面白さを楽しんでいるが、一方で、日本人は英語を使う時に不要な the をつけがちだという指摘に接すると、こうした「ザ」の氾濫が影響しているのか、と思ったりもする。こういうのも「こちらを立てればあちらが立たず」というのだろうか、なかなかうまくいかないものである。
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tempus fugit

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「光陰矢の如し」を意味するラテン語由来の言葉が tempus fugit です。
学習・趣味・仕事で英語に触れていつの間にか三十数年。英検1級とTOEIC900点超を取得した今も上級者への道は遠いですが、これまで出会った印象深い単語や表現について書いていきます。

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