Archive | 2009年04月
前回 Jolly Roger を取り上げた流れで、海賊にからんだ表現について書くことにしよう。「海賊もの」といえば頭に浮かぶ場面のひとつとして、船から海に張り出した板の上を目隠しのうえ歩かされる処刑があるのではないかと思うが、これを表すイディオムが walk the plank である。
そして今回、あらためて辞書を引いて知ったのは、この表現に「強制されて地位や役職を退く、やめさせられる、詰め腹を切らされる」「罰を受ける」という比喩的な意味があることだった。
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「ニューズウィーク」日本版の最新号がソマリア沖の海賊について特集していた。表紙には、どくろと骨をあしらった旗が大きく描かれている。「海賊」といえば頭に浮かぶおなじみの旗だが、ちゃんと名前がついている。Jolly Roger がそれである。定冠詞をつけて使われる。
幼い子供がいるおかげで、ここ数年、自分でも忘れていた作品に絵本や児童書で再会してきたが、「ピーターパン」に出てくるフック船長 Captain Hook の海賊船がその名も「ジョリー・ロジャー」であった。
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このところ取り上げているアメリカの政治家アドレイ・スティーブンソンは "too smart to be President" などといわれていたようで、egghead というあだ名がつけられていた。「はげ頭の人」のほか「知識人」「インテリ」を指す単語である。彼の頭は、外見も中身もまさにこの2つの特徴を兼ね備えていたということか。
前回取り上げたアドレイ・スティーブンソンを私が知ったのは、「キューバ危機」についてのドキュメンタリーか何かによってだった。核戦争の瀬戸際まで米ソの対立が深まったこの事件の時に国連大使だった彼は、キューバにミサイルを配備したのか否か、ソ連の国連大使に "Yes or no? Don't wait for the translation." と返答を迫った。
Wikipedia には
His most famous moment came on October 25, 1962, during the Cuban missile crisis, when he gave a presentation at an emergency session of the Security Council.と書かれていて、スティーブンソンといえばこの挿話、といえるほど名だたるもののようだ。キューバ危機を描いた映画「13デイズ」 Thirteen Days でも見せ場のひとつとして再現されていた。
( http://en.wikipedia.org/wiki/Adlai_Stevenson )
前回、separate the wheat from the chaff という表現を紹介したが、半世紀ほど前に活躍したアメリカの政治家 Adlai E. Stevenson が、次のような言葉を残している。
"An editor is someone who separates the wheat from the chaff and then prints the chaff."「編集者とは、玉と石を選り分けて」―ここまでは、なるほどそうだろうな、と読む者に思わせておいて―「・・・紙面に石の方を載せる人のことである」。このシニカルな言葉と直接の関係はないが、「ニューヨーク・タイムズ」紙のモットー "All The News That's Fit To Print" も何となく連想した。
前回、window は「敵のレーダー探知を妨害する金属箔」も意味し、その同義語として chaff がある、と書いた。空中に撒いて敵のレーダー波をかく乱し探知されないようにするもので、第2次大戦の昔から使われていたとのこと。
北朝鮮のミサイル発射を伝える英文記事について続ける。今回北朝鮮は、「人工衛星」を4月4日から8日までの期間、それぞれ午前11時から午後4時までの間に打ち上げる、と関係機関に事前通告していた。
平和利用とのポーズを示すためと受け取られていたが、それはともかくとして、この予定期間を伝えるのに window という単語を使っていた記事があった。
北朝鮮のミサイル発射で、日本が経済制裁を強化することになった。これに関連して sanction という単語について短く書いておきたい。これまでも、「辞書を引かずにひたすら読む」だけでは誤ったイメージを抱きかねないと思う単語や表現を取り上げているが、これもそのひとつといえるかもしれない。
前回に続いて北朝鮮のミサイル発射について。北朝鮮は今回、「人工衛星打ち上げ」の事前通告をしていたこともあって、日本を含む諸国がいろいろな外交努力を行った。
アメリカのクリントン国務長官は consequence を使って次のように発言し、テレビのニュースでも何回か耳にした。
北朝鮮が「ミサイル」を発射した。この前の発射の時も、英語にからめて何回かここで取り上げたが、早いものでもう3年前のことになる。今回、北朝鮮は「人工衛星」を打ち上げると予告していたが、日本やアメリカなどは長距離弾道ミサイルの試験とみて対応してきた。宇宙に人工衛星を飛ばす技術は基本的にミサイルと変わりないというし、核開発などこれまでの北朝鮮の行動を見れば、当然の対応だと思う。
打ち上げの計画が明らかになって以来、面白いなと思っていたのは日本のマスメディアの報道だった。私が見た範囲では、どの社もあくまで「ミサイルの発射」という位置づけで表現していたと思う。「事実上のミサイル」「人工衛星名目のミサイル発射」など細かい点で違いはあっても、記事の最初から「ミサイル」を使っていたことでは同じだった。
前回取り上げた「日本人なら必ず誤訳する英文」をめぐって、さらに雑多なことをいくつか考えたので書いておきたい。
まず、この本で面白いと思ったのは、著者自身が悪文、あるいはうまくないとしている英文が問題として取り上げられていることだ。
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